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画15 「巨人の星」(講談社KCスペシャル)第
1 集、159ページ 特訓の終わった夜、飛雄馬は星家裏にある井戸で体を洗っている(小学生のくせにいい体をしている!)そこに一徹が現われ、夜空を眺めてみろと言う。飛雄馬、仰ぎ見る。すると父ちゃんはその星座が「プロ球界最高の名門巨人軍だ」という。そして、命懸けの特訓(火の玉ノック)を告げるのだ〜! |
画15は、花形満のノックアウト打法を打ち破るべく、「父ちゃん」一徹と特訓を続ける夜のワンシーンである。実は、このシーンにも貴重なデータが隠されているのだ。
このシーンの季節であるが、実は昭和33年のシーズン開幕からジャスト16日後のことと特定できる。
というのも、
1) 「昭和33年シーズン開幕!!」、「黄金のルーキー長島(巨人)金田(国鉄)に四打席4三振」という新聞記事が描き込まれたコマがある(12)。つまり、この日はシーズン開幕日の翌日だ。
2) 同日放課後、飛雄馬は大リーグ養成ギブスを「6年生の不良番長」赤川に試着させている(13)。
3) 次の日の朝、そのことがばれて父子ゲンカとなる(14)。
4) 同日、花形満の口車にのせられ王貞治(早稲田実業高校)と対戦する。また、試合後花形満のノックアウト打法を見せつけられ、3週間後の対決(対・永遠のライバル花形満)を誓う(15)。
5) (画15)ノックアウト打法との対決を1週間後にひかえた夜、一徹の「火の玉ノック」で対策をあみだす(16)。
6) 花形満と隅田公園で対決(17)。
(1日+1日+3週間-1週間)=16日 というわけである。
[季節に関する考察の結論]・・・昭和33年の開幕日は4月5日。よって、このシーンは4月21日の出来事とわかる。
このシーンでは、「星」を指さすわけでもなく、正確なデータは得られない。しかし、第2章で推定した星家の間取りを思い出していただきたい。ここで飛雄馬がからだを洗っている井戸は星家の南側に位置していた。そして、飛雄馬・一徹ともに星家を背にしている。つまり、南の空を仰ぎ見ているといえる。
[方角に関する考察の結論]・・・このシーンにおける KYOJIN no
HOSHI は、南の空にあり、比較的高いところに位置している。
画16 「巨人の星」(講談社KCスペシャル)第
1 集、166ページ 火の玉ノックの騒ぎを聞きつけ、近所のオッサン達が"どやどや、がやがや"出てきたシーン。「さっき、たしか悲鳴が聞こえたぞ」「また、かわり者の星一家かい」「こんどはこんな真夜中かになにをおっぱじめたんだ?」の台詞が。 |
そして、このシーンの時刻は、「真夜中」である。画16を見ていただきたい。明子の悲鳴に驚いて飛び出してきた近所の人たちが「こんな真夜中に」といっている。
また、その人たちの服装をみても、そのほとんどが下着姿である点、明子の悲鳴から少し間をおいて出てきた点から、彼らが就寝中だったことが推測される(下着姿で夕涼みをするにはまだ時期が早い)。しかし、人は就寝中を起こされると「なんだい、こんな真夜中に」といってしまうものである。また、彼らは肉体労務関係の仕事に就いていたと思われる。彼らの夜は早い。午後9時、10時といえば「おねむ」の時間である。
一方、明子はエプロン姿である。彼女は台所仕事を中断して飛び出してきたと思われる。当時小学校高学年で、なおかつ家族の中では一番常識家と思われる彼女が台所仕事をしても近所迷惑にならないと考える時間帯・・・。以上から推定するに、このシーンの時刻は、概ね午後9時頃と推定できる。
[時刻に関する考察の結論]・・・概ね午後9時頃
[昭和33年、初夏、東京都荒川区において指し示された KYOJIN no HOSHI
についての推定]
A 季節 : 昭和33年4月21日
B 方角 : 南の空、比較的高い位置
C 時刻 : 概ね午後9時頃
星図 IV を見ていただきたい。昭和33年4月21日午後9時の、東京の南の空である。 この星空の中に「ひときわでっかく輝く明星」は、それほど多くはない。わずか5つにすぎない。
推定 2 : KYOJIN no HOSHI の候補として、次の星が考えられる。 | |
星図 IV 東京/日本(北緯36°、東経140°) 昭和33年4月21日 21:00南の空、仰角0〜90° |
12) 「巨人の星」(講談社KCスペシャル)第1集、43ページ。
13) 「巨人の星」(講談社KCスペシャル)第1集、51〜54ページ
14) 「巨人の星」(講談社KCスペシャル)第1集、76〜78ページ。ちなみに有名な「ちゃぶ台ひっくり返しシーン」はこのけんかのワンシーンだ。
15) 「巨人の星」(講談社KCスペシャル)第1集、92〜136ページ。
16) 「巨人の星」(講談社KCスペシャル)第1集、158〜169ページ。
17) 「巨人の星」(講談社KCスペシャル)第1集、170ページ〜。ちなみに、花形満の率いるチーム名は「ブラックシャドーズ(黒い影たち)」、星飛雄馬が参加したチーム名は「ドングリーズ(ドングリたち)」である。おしゃれな名前だ。
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